一人の生徒が先生に尋ねました、

 

長らく先生に付いて、

学ばせてもらっていますが、

ホントにこの学びは素晴らしいと思います。

 

ここへ来ているときは、

心も晴れ晴れするし、

ごっつエエ感じなんですわ。

 

それが会社に行ったら、

全然あかんのです。

 

すぐイライラして、

良知どころやないんです。

 

この学びを上司や後輩にも、

聞かせてやりたいですわ。

 

 

陽明先生は、ため息を一つつき、

少し笑顔を作られてから言われました、

 

「あんな、自分な、

 教室でいくらエエ感じになっても意味ないねん、

 

 ここに来た動機を思い出してみて、

 

 ここへ癒しを求めて来たんと違うやろ?

 

 普段の生活、日常をエエ感じにしたいと、

 思って来たんやろ?

 

 ここでいくら良知に従って生きれても、

 意味がない。

 

 普段の日常のなかで、私心に囚われず、

 良知に従って生きれるようになりたいんやろ?

 

 そう考えたら、その自分がアカンというてる、

 日常、職場、上司や後輩との交流こそ、

 本当の学びの機会なんやで。

 

 例えば、書類を作っているとき、

 もうええかな、手を抜こうかなぁ、

 そんな気持ちが出て来たとする、

 

 そのときに、その自分私心に、

 向き合い、これではいけないと、

 姿勢を正してみる、

 

 上司の命令が理不尽であり、

 それに対しカッとなったとする、

 そんな自分を見つめ、

 自分は本当は何をすべきかを考え、

 その通りに行動してみる、

 

 可愛い後輩が、自分にすり寄り、

 エコ贔屓を頼んで来ても、

 惑わされず、公平に扱ってみる。

 

 日常生活の中では、

 心を惑わす出来事がいっぱい起こる、

 それこそを自分の心を磨くチャンスなんや。

 

 そうやって、

 いつ何時も良知に生き切れるようになること、

 それこそが、学びなんや。

 

 それに比べたら、教室へ来ての学びなんて、

 なんの意味もないんやで。

 

 普段の日常で起こる出来事の中で、

 心を磨いていくことが大切なんや。

 

 これを事上磨錬っていうんや」