「山中の賊を破るは易く、

  心中の賊を破るは難し」

 

王陽明は本当に優れた軍人であった。

 

各地で起こる反乱を、

寡兵で見事に鎮めていった。

 

その鎮めた土地を、

民衆自治による幸せなコミュニティに、

生まれ変わらせた有能な施政者でもあった。

 

陽明学者と呼ばれる人は、

実に有能な実務家なことが多い。

 

 

日本でいえば、

西郷隆盛や河合継之助の軍の差配は

有能であったし、

 

山田方谷は、軍事も財務において、

まさに天才的な実務家であった。

 

 

日本資本主義の父、

渋沢栄一もそうだ。

 

 

筆者の主観であるが、

現代において、

もっとも優れた陽明学者のひとりは、

株式会社フェリシモの矢崎勝彦氏だと思う。

同氏は、まさに天才的な経営者だ。

 

 

10人いれば、

1番にはなれないが、

2番手くらいのストイックなタイプ、

少し角のあるような秀才が、

陽明学を修めると時代を代表するような、

そんな天才に生まれ変わったりする。

 

陽明学は、

非常に優れた心理学、

そんな側面をもつ。

 

 

王陽明という人は、

儒学や仏教をはじめとした東洋の哲学を学び、

自らの体認を通し体系化していった。

この体系化された哲学は、

東洋思想の華とも言われるようになった。

 

科学の進んだ現代人の私たちから見れば、

陽明学は心理学よりも脳科学に近いとも感じる。

 

陽明学を学ぶと、人の心の動きが、

脳の動きが手に取るように、

理解できるようになるのだ。

 

陽明学を修めていけば、

この先、こんな展開になるだろうと、

未来が写真を見るようにわかるという。

 

このことを「先見知」と呼ぶ。

 

陽明は、山の中に塞を築いて、

立てこもる賊を前にして、呟く、

 

「山中の賊を破るは易く、

  心中の賊を破るは難し」

 

陽明は何を思って、

そう呟いたのだろうか?

 

「目の前の賊を鎮めることは、

 難しいことではないんだ。

 

 でも、自分の心の中にある、

 疾しい心を鎮めること、

 

 これが難しいのだ」