満街の人 皆聖人なり
王陽明の哲学ここにあり、
そう言っても過言では無いと思う。
心やさしき軍人にして、
哲学者たる陽明が、
晩年に至った境地だ。
「街中の人すべてが聖人である」
こういうと異論を唱えたくなる、
そんな人もいるだろう、
ほら、悪い奴が、
いっぱいいるじゃないか。
陽明はこの意見に真っ向からは、
反対せず、こう問い返す、
でも誰の心にも良知はあるだろ?
町中の人をよく観察してごらん、
電車の中で、眠ったふりをする若者、
眠ったふりをするのは、
どうしてだと思う?
それは本来なら、
席を譲った方が良いと、
知っているからだろ?
道端で泣いている小さな女の子、
道行く人は、その女の子のことが、
気になっているだろう?
自分とは直接関係のない女の子が、
どうして、気になるの?
それは皆の心に、
良知があるからだよ。
良知を、
そのまま行動に起こせるかどうか、
それは人によるし、
同じ人でもその時の状況による。
悪党と呼ばれる人も、
よくよく行動を観察すれば、
良知が、
ちゃんと働いているのがわかるだろ?
悪人と呼ばれるような人も、
その良知に素直に従って行けば、
人は誰でも聖人になれるんだよ。
「満街の人 皆聖人」とは、
こういう意味だよ。
「良知」は、
天理と表現されることもある。
天理は、
少し違うが大自然の摂理と、
表現しても良いかもしれない。
ひとつ、動画を紹介する。
哺乳類は、一人では生きていけない、
子々孫々の幸せを願うよう、
そうチューニングされている。
我々人間も哺乳類だ。